英語学習者のなかには、「受験勉強をして、ある程度英文は読めるけど話せない」「TOEICのスコアはそれなりに良いものの、英語が話せない」という方もいるのではないでしょうか?
近年、日本国内にいても英語を話す機会は増えています。インバウンド観光や外国人労働者の増加により、街で外国人に話しかけられたり、仕事で英語を使わなければならない場面に立たされたりすることもあるでしょう。そうした場合、思うように英語を話せないと「自分は英語を話せないんだ・・・」と落ち込み、恥ずかしくなってしまうこともあるはずです。
今回はそうした方に向け、そもそもなぜ「英語を読めるけど話せない」のか、どのような勉強法を実践すれば英語が話せるようになるのかをご紹介します。
英語を読めるけど話せない理由
まずは、英語を読めるけど話せない理由をチェックしていきましょう。英語を読めるけど話せない理由は主に2つあります。
1つ目は、そもそも「読む」と「話す」とでは使う脳の場所が異なること。読むときは「ウェルニッケ野」と呼ばれる脳の後ろの部分、後頭葉や頭頂葉を使います。一方、話すときは「ブローカー野」と呼ばれる脳の前の部分、前頭葉を使うのです。
つまり、「読む」と「話す」ことは全くの別物。そのため、「読む」と「話す」の力を伸ばすには、それぞれ別のトレーニングを行う必要があります。
「読めるから話せる」とは限らないことを、まずはしっかり押さえておきましょう。
英語を読めるけど話せない理由の2つ目は、英語を話す訓練を受けていないこと。世界最大級の語学学校EFが発表した「EF EPI英語能力指数」によると、日本の英語力は世界113か国中87位。英語能力レベルは「低い」と位置づけられています。
これまで日本の英語教育は、受験勉強に向けた文法や語彙学習などに力を入れてきました。近年では小学校から英語教育が取り入れられ、音読やスピーキングも重要視されるようになってきていますが、それはここ数年のことです。
そのため、受験勉強に向けた文法や語彙学習などを中心とする英語教育を受けてきた今の大人たちは、そもそも英語を話す訓練を受けていません。
日本人に英語を読めるけど話せない人が一定数いる背景には、こうしたことも関係しているのです。
英語を読めるけど話せない人におすすめの勉強法
ここからは、英語を読めるけど話せない方のために、英語を話せるようになるおすすめの勉強法をご紹介します。
おすすめの勉強法 その1: シャドーイングの練習をする
シャドーイングとは、英語の音声を聞きながら、1~2語遅れて復唱する方法です。英文を聞き終えてからその英文を発音する「リピーティング」や、英文を読み上げる「音読」とよく混同されがちですが、まったく異なるトレーニング法です。
なお、シャドーイングは、リスニング力、スピーキング力、発音の向上に効果があります。
「英語を読めるけど話せない」人は、話されている単語をそもそも聞き取れていない場合が多いです。自分で発音できない単語を音として認識できないためです。
そのため、シャドーイングによって英語特有のリズムや言い回しなどを聞き取れ、自分でもそれをそのまま発音できるようになれば、単語の発音と意味が結び付き、聞こえてきた英文を正しく理解できるようになります。
また、シャドーイングで繰り返し英語を聞き、その英語を復唱することで、リエゾンと呼ばれる単語間の音のつながりもわかり、単語を正確に聞き取れるようになるでしょう。
シャドーイングの練習におすすめのアプリ
シャドテン 公式サイトへ行く
料金例(税込) |
|
---|---|
無料体験 | 7日間 |
おすすめポイント |
|
サービスの特徴:
シャドテンは、シャドーイングを正しく効果的に行うことに特化した英語学習アプリ。
最大の特徴は、シャドーイングの添削を毎日受けられる点。シャドテンでは、ビジネス英語のプロが、利用者のシャドーイングをチェックし、良かった点・改善点を毎日フィードバックしてくれる。
また、最先端のビジネストピックやビジネス英会話シーン、日常英会話シーン、著名人のスピーチやインタビューなど幅広いラインナップのなかから、自分にあった教材でシャドーイングに取り組めるのも嬉しいポイント。
シャドテンは、「シャドーイングにチャレンジしたいけれど、自分に合った教材がわからない」「シャドーイングをやっていたけれど続かなかった」という方におすすめ。
おすすめの勉強法 その2: アプリを使ってスピーキングの練習をする
近年、対人ではなく、AIと英語で会話の練習ができる英会話アプリが多数登場しています。こうしたアプリでは、AIとの会話練習に加え、AIが自分の話す英語の発音を判定してくれたり、ネイティブの発音を聞けたりします。
英語を読めるけど話せない人のなかには、英語を話せるようになりたいと思っているけれど、英会話はハードルが高い、恥ずかしい、料金が高いといった理由から、なかなか最初の一歩を踏み出せない人もいるはずです。
その点、英会話アプリの場合、場所や時間の縛りが英会話教室やオンライン英会話などよりも緩く、会話の相手も対人ではないため、失敗や間違いを恥ずかしく感じる必要もありません。
また、英会話教室やオンライン英会話を利用する場合と比較して安価なサービスが多く、金銭的な負担が少ない点も魅力です。
スピーキングの練習におすすめのアプリ
Speak(スピーク) 公式サイトへ行く
料金例(税込) |
|
---|---|
無料体験 | 7日間 |
おすすめポイント |
|
サービスの特徴:
Speak(スピーク)は、アメリカを本拠地とするSpeakeasy社が提供するスピーキングに特化したアプリ。
「ChatGPT」で知られるOpen AI社のAI技術と「Speakeasy」が独自に開発した自動音声認識技術や英語学習ノウハウを組み合わせることにより、対人の英会話と同水準のスピーキング学習ができる。
「レベル別コース」や、日常会話・ビジネスシーンなどの各種シチュエーションに応じた会話練習ができる「AI講師」、文法や発音の強弱が学べる「ミニコース」の3つラインナップを用意。
アプリを使って、AIを相手に英会話の練習をしたい場合、Speakはぜひ候補に入れておきたい。
スピークバディ 公式サイトへ行く
料金例(税込) |
|
---|---|
無料体験 | 7日間 |
おすすめポイント |
|
スピークバディは、AIを相手にスピーキングの練習ができる英会話アプリ。総利用者数は300万人以上で、パーソルキャリアや三井不動産など、大手企業を含めた100社以上での法人導入実績も誇る。
スピークバディでは、感情豊かなAIを相手に、まるで人と話しているかのように英会話が可能。AIが会話の相手になるため、失敗や間違いを気にせずスピーキングの練習ができる。
また、第二言語習得理論をはじめとする科学的な理論を基に学習内容が構成され、効率よく勉強に取り組める。苦手な発音や詰まる箇所・忘れそうな学習内容等をAIが分析し、特別トレーニングを用意してくれる点もチェックしておきたい。
1日の学習時間の目安は10分~15分程度。スピークバディは、ちょっとしたすきま時間を利用して、スピーキングの練習をしたい人におすすめのアプリ。
トーキングマラソン 公式サイトへ行く
料金例(税込) |
|
---|---|
無料体験 | 2週間 |
おすすめポイント |
|
トーキングマラソンは、会話の流れの中で瞬時に英語を発想する「瞬間スピーキング力」を鍛える英会話アプリ。
トーキングマラソンの特徴は、提示された日本語に対応する英語をぱっと浮かべて発話するクイックレスポンス型のトレーニングができる点。6秒以内に答えなければならず、英語の瞬発力を鍛えられる。
また、トーキングマラソンでは、株式会社アルクが出版する「聞いて覚える」ことを重視した人気の単語・熟語集『キクタン英会話』から520個の頻出フレーズをベースに会話シーンを作成。なお、これらの会話シーンは、英語の映画・ドラマ、フレーズ集を徹底的に分析して制作されているほか、毎月新しいものが追加される。飽きることなくトレーニングを続けられるのも嬉しいポイント。
おすすめの勉強法 その3: オンライン英会話を利用する
オンライン英会話は、パソコンやスマホがあれば場所や時間を選ばず自由に英会話のレッスンを受けられる語学学習サービスです。
自宅やオフィス、カフェからレッスンに参加できるのはもちろん、夜遅くや朝早くの時間帯でもレッスンを開講しているサービスがあるので、日中に時間を確保するのが難しい社会人でもレッスンを受けやすくなっています。
ちなみに、対面型の英会話教室では、他の受講生とともにレッスンを受けるグループレッスンが主流ですが、オンライン英会話の場合、レッスンは基本的にマンツーマン。そのため、受講生一人ひとりに合ったレベルや内容でレッスンが受けられ、適切なフィードバックがもらえます。
また、オンライン英会話の場合、料金が英会話教室と比較して安く設定されているケースがほどんど。
英会話教室の場合、最低でも月額10,000円以上かかるのが一般的ですが、オンライン英会話は、毎日受レッスンを受けても月額6,000円~7,000円程度です。
リーズナブルな料金で英会話のレッスンを受講できるのも、オンライン英会話を利用する大きなメリットといえるでしょう。
おすすめのオンライン英会話
ネイティブキャンプ 公式サイトへ行く
料金例(税込) |
|
---|---|
無料体験 | 7日間 |
おすすめポイント |
|
サービスの特徴:
ネイティブキャンプは、回数無制限で、24時間365日いつでもレッスンが受けられるオンライン英会話。
1日のレッスン回数に制限がなく、受け放題となっているにもかかわらず、「プレミアムプラン」は月額7,480円(税込)とリーズナブルな料金を実現している。
さらに、事前予約なしでいつでもレッスンを受けられるほか、1回最短5分からレッスンを受講できる点もチェックしておきたい。
また、フィリピン人講師に加え、欧州人の講師やネイティブ講師も在籍。さまざまな国籍を持つ講師のレッスンを受けられるのも、ネイティブキャンプの魅力的な特徴のひとつ。
ネイティブキャンプは、とにかく回数をこなして英語を話すことに慣れたい方や、短時間でも英会話の練習をしたい方におすすめのオンライン英会話といえるだろう。
レアジョブ 公式サイトへ行く
料金例(税込) |
|
---|---|
無料体験 | 25分のレッスン2回 |
おすすめポイント |
|
サービスの特徴:
レアジョブは、フィリピン講師、日本人講師、ネイティブ講師などさまざまな国籍の講師が在籍するオンライン英会話。累計会員数は100万人にのぼり、アサヒ飲料やJCBなど大手企業での法人導入実績も誇る。
レアジョブでは、スマホがあればどこでもレッスンを受けることが可能。また、5,000種類以上のオリジナル教材を用意しており、レベルや学習目的に応じて、自分に合った教材を選択できる。
朝6時から深夜1時まで開校しているため、自身のライフスタイルに合わせてレッスンを受講できるのもポイント。
さらに、利用者の59%が初心者からスタートしており、入会前に日本人カウンセラーと学習方法を相談できる等、初心者向けのサポートも充実している。
レアジョブは、オンライン英会話を利用して、スピーキングの練習をしたい人におすすめ。
おすすめの勉強法 その4: インプットする量を増やす
英語を読めるけど話せないのは、実はインプットが足りていない可能性があります。「英語が読める」と認識していても、実は「英語をある程度読める」だけであり、受験勉強で出てきたような文章しか読めない可能性があるのです。
そのため、日常的に話される話題や時事などのトピックに関しては、単語がわからなかったり文章構造が難解でわからなかったりします。
そうした場合は、今まで以上にインプットすることを意識しましょう。
母語ではない言語をどのように身につけていくのか、そのメカニズムやプロセスを明らかにしていく学問である「第二言語習得研究」においても、インプット中心のトレーニングが効果的とされています。
具体的なインプットの方法は、BBCやCNNなどのニュースサイトの記事を読む、TED Talksなどのプレゼン形式の動画を観る、偉人の演説を聴くなどです。
その際、わからないものをわからないままにせず、単語や内容を理解できるようにするのがポイント。ただ、あまりにも難しいものに挑戦してしまうと、逆に苦痛になってしまうため、そうした場合には少しレベルを落としたところからチャレンジしてみましょう。
おすすめの勉強法 その5: 音読をする
音読も英語を話せるようになるには効果的な方法です。「英語に口を慣らす」イメージで取り組むと良いでしょう。
インプットで読んだ文章や聴いたプレゼンテーション・演説、子供向けの本や学生時代に使っていた教科書を声に出して読むのがおすすめ。また、自分が興味を持てるものや、自分のレベルに合った教材を選ぶのもポイントです。
ただインプットと同様、興味がなかったり難しすぎたりすると、苦痛となり挫折する可能性が高くなるので注意しましょう。
ちなみに音読する際は、自分の音読を録音してあとで聴き返せるようにしておくと、手軽に復習ができ、より効果的です。
「英語を読めるけど話せない」を克服するコツ
「英語を読めるけど話せない」を克服し、英語を話せるようになるには、「羞恥心を捨てる」、「継続する」ことが大事です。それぞれについて以下で詳しく解説します。
「英語を読めるけど話せない」を克服するコツ その1: 羞恥心を捨てる
人間は、苦手意識があったり自信がなかったりすると、「間違ったら恥ずかしい」と思いがちです。
ですが、恥ずかしがっていては何もはじまりません。私たちは日本人であり、日本語を母国語としています。そのため、外国語である英語を間違えても何も恥ずかしくはないのです。むしろ、間違えることは当たり前です。
英語を間違えたとしても恥ずかしがらず、正しい英語を学べるチャンスだと捉えましょう。実際、人間は間違えたことのほうが記憶に残り、その内容を覚えやすいと言われています。
間違いを恐れず、積極的に英語を声に出して話すことが、「英語を読めるけど話せない」を克服する第一歩です。
「英語を読めるけど話せない」を克服するコツ その2: 継続する
英語を話せるようになるには、それなりの時間が必要です。アメリカにある、外交官を対象とした研修機関「The Foreign Service Institute(FSI)」によると、「スピーキングとリスニングにおいて、一般的な専門能力を身につけるための時間は約3000時間」と言われています。※
ただ、この研究の前提は「ネイティブレベルになるには」であり、それよりも低いレベルであれば、3000時間よりも短い学習時間で英語を話せるようになる可能性があります。また、「英語が読める」素地がある場合も、実際に必要な勉強時間は3000時間よりも少なくて済むでしょう。
ですが、いずれにせよ、一朝一夕では身につかないのが言語です。なかなか話せるようにならなくても一歩一歩着実にレベルアップすることを目指し、学習を継続することが重要です。
まとめ
今回は、「英語を読めるけど話せない」原因や、そうした場合におすすめの勉強法について解説しました。
そもそも「読む」と「話す」とでは使う脳の場所が異なり、話せるようになるには、読むこととは別のトレーニングが必要です。ただ、日本の英語教育ではこれまで「読む」に重点が置かれていたため、話せるようになるための勉強法を知らない方が多いといえます。
なお、英語を話せるようになるには、シャドーイングや英会話アプリを使用する、オンライン英会話を受講するなどさまざまな勉強法があります。
「英語を読めるけど話せない」を克服し、「英語を話せるようになる」には、自身のライフスタイルや学習目的、レベルに合った方法を見つけ、勉強を継続することが重要です。
英語を読めるだけでなく、話せるようになりたいと思っている方は、本記事を参考に最初の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。