英語初心者のなかには、「洋書にチャレンジしてみたい」「洋書を使って英語を学びたい」と考えている方もいるはずです。
「洋書を読む」というと、初心者にはやや難しいイメージがありますが、数ある洋書のなかには初心者でも読みやすく、飽きずに読み進められるものがあります。
そこで本記事では「英語初心者向けの洋書」に注目し、英語初心者でも読みやすいおすすめの洋書を紹介。さらに、英語初心者が洋書を読む際のコツについても解説しています。
洋書を読みたいと思っている英語初心者の方、初心者レベルでも読みやすい洋書を探している方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
英語初心者が洋書を読むメリット
英語初心者にとって、洋書を読むことにはどのような効果があるのでしょうか。
洋書を読むメリットを3つにまとめてご紹介します。
英語初心者が洋書を読むメリット その1: リーディングのスピードが向上する
まず、英語初心者が洋書を読むメリットは、「英語を読む」ことに慣れ、英文の理解が速くなり、リーディングスピードも格段に上がることです。
リーディングの速度を上げるには、頭のなかで「英語→日本語」に変換しなくても英語のまま理解できるようになることが大事。
実は洋書を多読をすることで、自然とそれができるようになります。
はじめのうちは、洋書を最後まで読み切るのになかなかの根気が必要ですが、リーディングスピードの効果は、ペーパーバック1冊を読破できればすぐに感じられるはず。
中学レベルの簡単な文法、語彙で書かれたもので十分なので、興味を持つことができ、かつ読みやすい洋書をまずは1冊最後まで読み、その効果を実感してみてください。
英語初心者が洋書を読むメリット その2: 英語の語彙力が向上する
わからない単語を毎回調べる必要はありませんが、洋書を読んでいると、「この単語の意味がわからないと、何が起きているのか理解できない」ということばも度々出てきます。
キーワードとなることばは何度も出てくるので、特によく出てくる単語や気になったものは一度意味を調べると、単語帳で覚えるよりも格段に記憶に定着しやすいです。
また、意味を調べなくても文脈からわかることばもたくさんあり、曖昧だったり忘れかけていたりする単語も、文脈で触れることではっきりと理解できるケースもあります。
日本語での読書と同様、「語彙力がつく」のも洋書を読む大きなメリットのひとつです。
英語初心者が洋書を読むメリット その3: 人生を豊かにしてくれる
「英語の洋書」は英語のネイティブだけでなく、非ネイティブの著者による作品も多くあります。
世界で英語を母国語とする人口は3億8千人ほどですが、「英語話者」の数は約11億人。
つまり、母国語ではないけれど日常的に使う人が非常に多いのが、英語という言語の大きな特徴です。
そのため、日本語だけではなく英語で本を読むことができれば、世界が格段に広がり、人生が豊かになります。
「洋書を読む」力は、さまざまな国の文化や社会、思想などを学べる、一生モノのスキルだといえるでしょう。
英語初心者が洋書を読む際のコツ
英語初心者にとって最初の洋書1冊を読み通すのはハードルが高いものです。ただ、単なる根性論ではなく、洋書を読破するにはいくつかのコツがあります。
本チャプターでは、そのコツを詳しく見ていきましょう。
英語初心者が洋書を読む際のコツ その1: 本選びにこだわる
英語初心者が洋書を読破するためにまず重要なのが、本選びです。
書店で購入する場合は本の冒頭と中盤あたりの数ページを読み、自分が読めるレベルの英語で書かれているか確認しましょう。電子書籍やネットで洋書を注文する場合は、文章のサンプルなどがあれば必ずチェックしてください。
本のカバーにTOEICスコアなどが書かれ、英語レベルが分かるようになっているものであれば、そうした表記を参考にすると良いでしょう。
ちなみに、平易な英語で書かれた本を探すコツとして、非英語ネイティブの著者の本を選ぶのもおすすめです。英語が母国語でないため、文法や単語が簡単で、比較的読みやすい特徴があります。
また、小説よりも、エッセイや自己啓発本、ノンフィクション作品などの方が文学的な言い回しが少なく、表現がシンプルで読みやすい傾向があります。
映画化されている作品や翻訳版で読んだことがあるものなど、ストーリーや内容を知っているものも英文を理解しやすく、最後まで読みやすいため、初心者におすすめです。
英語初心者が洋書を読む際のコツ その2: 知らないことばは読み飛ばす
洋書を読んでいると、知らない単語や言い回しにたくさん出会います。ただ、そのたびにわからないことばを調べていたら、読破するまでに息が続かないでしょう。
洋書を読む際は、基本的に辞書は使わず、知らない単語はバンバン読み飛ばして、わかることばから意味を推測して内容を把握するのが大切。
なお、だいたい全体の7割くらいまで理解できていれば、話の展開についていけるので問題ありません。
ただし、「この単語がわからないと全体的に理解できない」というものや、何度も出てくるキーワードなどは調べたほうが良いでしょう。
英語初心者が洋書を読む際のコツ その3: 難しすぎたら諦める
いざ洋書を読み始めても、英語が難しすぎたり、内容がつまらなかったりすると本を開くのが億劫になってしまいます。
よくあることですが、「最後まで読み切らなければ」という意識が強いと、途中でその本をストップして次の本を読み始めることができず、結局、洋書を読まない期間が長くなってしまう・・・といったことも。
選んだ本がなかなか思うように読み進められない場合は、その本は「もう少し英語のレベルが上がったときに読む本、タイミングがきたら読む本」として一度積読に回し、新しい本を読み始めましょう。
大事なのは、「継続」して洋書を読むことです。
【英語初心者向け】はじめてでも読みやすいおすすめの洋書5選
本チャプターでは、英語初心者でも完読できる、おすすめの洋書を5冊ご紹介します。各洋書のおすすめポイントも記載しているので、ぜひ参考にしてみてください。
★ 選書のポイント
英語初心者でも比較的スムーズに読み進められるよう、文法や語彙、表現が難しすぎず、単語の意味を調べなくても場面の内容がつかめるレベルの洋書を選びました。
その上で、内容が魅力的で、個人的におもしろいと思った洋書をピックアップしています。
いずれも名作で、映画化されたり、世界中で翻訳されてベストセラーになったりしている良書ばかり。
「長文読解」や「英語を勉強している」という意識から外れて、純粋に本の内容を楽しめるはずです。気になる洋書があればぜひ手に取ってみてください。
≪ 英語初心者におすすめの洋書 その1 ≫
ボブという名のストリート・キャット Amazonでチェック
原題 | A Street Cat Named Bob |
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著者 | ジェームズ・ボーエン |
ページ数 | 320ページ |
初心者におすすめのポイント |
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洋書の紹介
ロンドンの野良猫が巻き起こした奇跡の実話を、飼い主のジェームズが書き綴ったノンフィクション作品。
ミュージシャンを志したものの上手くいかず、薬物中毒となり路上生活にまで追い込まれたジェームズは、ソーシャルワーカーから無償のアパートを提供してもらっていました。
路上でギターの弾き語りをしてその日暮らしをしていたある日、茶トラの野良猫がアパートに迷い込んできます。自分ひとりが生きていく余裕もないのに猫の世話までできないと思いつつも、彼に懐くその猫を見捨てられず、「ボブ」と名付けてそばにいさせることに。
そして、その日食べるものにも困る苦しい状況のなか、ジェームズはボブのためにお金を使い、ボブを心の支えに生きていきます。
すると、ジェームズの肩に乗り、毎朝ジェームズと一緒に出勤するボブは、人々の心を惹きつけ、ジェームズの人生がどんどん好転しはじめ――。
本作は、28ヵ国以上で翻訳され、映画化もした大人気作品。
ノンフィクション作品のため、文学的な表現や婉曲な言い回しなども少なく、初心者でも読みやすいです。
大勢の注目を浴びながら、自由きままに生きるキュートなボブに虜になること間違いなし!
≪ 英語初心者におすすめの洋書 その2 ≫
Room (日本語版なし) Amazonでチェック
原題 | Room |
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著者 | エマ・ドナヒュー |
ページ数 | 416ページ |
初心者におすすめのポイント |
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洋書の紹介
アイルランド系カナダ人、エマ・ドナヒューによるベストセラー作品。ブッカー賞にもノミネートされました。
誘拐され7年間監禁されている女性が、誘拐犯との間にできた5歳の息子ジャックと、監禁部屋からの脱出を試みるという衝撃的な物語です。
生まれたときから狭い部屋しか知らず、それが世界のすべてだと思っていたジャック。5歳になったとき、彼は母から「外には広い世界がある」と告げられます。
怯えながらも計画を果敢に実行するジャックですが、脱出したあとも母子にはさまざまな試練が。
誘拐犯から逃れる母と息子の脱出シーンはスリリングで、洋書であることも忘れるほど物語に入り込めます。
この本の特徴は、物語全体がジャック目線で描かれていること。5歳児が物語の語り手という設定のため、全般にわたって易しい英語が使われています。
また、ジャックがたびたび文法や言い回しを間違えることがあり、英語圏のこどもがどのようにことばを間違えるのかを知れるのもおもしろいポイントです。
≪ 英語初心者におすすめの洋書 その3 ≫
ミー・ビフォア・ユー きみと選んだ明日 Amazonでチェック
原題 | Me Before You |
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著者 | ジョジョ・モイーズ |
ページ数 | 448ページ |
初心者におすすめのポイント |
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洋書の紹介
おしゃれが大好きな26歳のルーは、ある日突然仕事を失い、途方に暮れます。
ようやく就いた次の仕事は、バイク事故で四肢麻痺になってしまった男性、ウィルの世話役でした。
初めはルーを拒むウィルでしたが、ルーの明るさと一生懸命さを目の当たりにして、徐々に心を許すように。ルーとウィルの距離は縮まり、互いに惹きつけられるようになりますが、ウィルは心にある決意を抱いていて・・・。
『世界一キライなあなたに』というタイトルで映画化もされ、世界中で大ヒットした感動のラブストーリーです。
四肢麻痺という障害を抱え、絶望のさなかにいる人とどう向き合うか。難しいテーマを扱う本作ですが、反面、明るく破天荒なルーのポップでテンポの良い英語が印象的。
英語の読みやすさもさることながら、ルーの人柄にも惹きつけられます。
≪ 英語初心者におすすめの洋書 その4 ≫
7つの名前を持つ少女 Amazonでチェック
原題 | The Girl with Seven Names: A North Korean Defector’s Story |
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著者 | イ・ヒョンソ/デヴィッド・ジョン |
ページ数 | 320ページ |
初心者におすすめのポイント |
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洋書の紹介
北朝鮮で生まれ、17歳で脱北したイ・ヒョンソによるノンフィクション作品。
中国と北朝鮮の国境近くで生まれ育った著者は、危険だと知りつつも好奇心を抑えきれず、17歳のときに川を渡り、中国に入ってしまいます。きっかけはちょっとした出来心でしたが、その後母から、「危険だから帰ってこないように」と電話を受け、事態の深刻さをようやく理解します。
家族との再会を切願しながら、待ち受けるさまざまな困難を、持ち前の機転と知性で乗り越えていく著者の姿にページを捲る手が止まりません。
本作は非英語圏の著者による文章のため、英語が平易で読みやすいです。さらに、文学的な表現が少なく、ストーリーを追いやすいノンフィクションである点も、英語初心者におすすめのポイント。
北朝鮮の社会をよく知る当事者の目線で語った貴重な資料としても、とても興味深い内容です。
≪ 英語初心者におすすめの洋書 その5 ≫
アルジャーノンに花束を Amazonでチェック
原題 | Flowers to Algernon |
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著者 | ダニエル・キイス |
ページ数 | 324ページ |
初心者におすすめのポイント |
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洋書の紹介
知的障害をもつチャーリーは「かしこくなりたい」と願い、臨床試験の被験者第一号として、知能指数を上げる手術を受けます。そして手術は成功し、術後数ヶ月でIQ185の天才に。
タイトルにある「アルジャーノン」とは、チャーリーより一足先に同じ手術を受けたハツカネズミの名前。そして、アルジャーノンの術後の様子から、天才チャーリーはこの手術の欠陥と自分の行く末を悟ってしまいます。
「かしこくなる」ことは、果たしてチャーリーにとって幸せだったのか。
涙なしには読めない、言わずと知れた名作です。
本書は、術後のチャーリーが記す「経過報告書」の体裁で書かれています。
そのため、手術を受ける前の誤字だらけの英語から始まり、天才になったあとは難しい文体に変わるというユニークな書き方の小説です。
洋書に慣れない初心者には少し読みづらい部分もあるかもしれませんが、この本はそうした文体の変化も魅力のひとつ。そのあたりにも注目しつつ、ぜひ原書で最後まで読んでもらいたい1冊です。
まとめ
チャレンジしてみたい洋書はありましたか。
上記にも記載していますが、英語初心者が洋書を1冊読み切るのに大事なのは、本選びです。
背伸びせず、読みやすい英語で書かれた洋書を見つけること。そして、魅力的な内容の作品を選ぶことです。そうして読む本を決めた後は、なるべく辞書を使わずに7割くらいの理解度を目指して読み進めましょう。
1冊の洋書を読むのに何か月もかかることがあります。ですが、「頑張って読まなければ」と気負いすぎず、ストーリーを忘れない程度に、断続的にでもちょこちょこと読み続けることが大事です。
洋書を1冊読み通せたら、大きな自信になるはずです。ぜひ、洋書を読むことを楽しみ、読書の幅と世界を広げてみてはいかがでしょうか。