はじめに
IELTS(アイエルツ:International English Language Testing System)は、イギリスの公的国際交流機関「ブリティッシュ・カウンシル」、IDP:IELTSオーストラリア、ケンブリッジ大学英語検定機構が共同運営する英語資格試験。(※日本国内におけるIELTSの運営は、公益財団法人 日本英語検定協会が担当)
世界中で年間350万人以上が受験し、海外留学や海外移住の際に必要な英語力が測れると人気を集めています。将来、海外留学や海外移住を考えている方のなかには、IELTSの受験を予定している方もいらっしゃるのではないでしょうか?
せっかくIELTSを受験するのであれば、試験の基本情報を押さえ、しっかりと対策をしたうえで受験することが大切です。
そこで今回は、IELTSに注目し、試験の基本情報や対策、おすすめの勉強法などについて、わかりやすく解説します。さらに、オンラインでできるIELTS対策におすすめのサービスについての紹介も。
IELTSの受験を検討している方は、ぜひチェックしてみてください。
IELTS(アイエルツ)の基本情報
はじめに、IELTSの試験概要と試験内容について見ていきましょう。
ELTS(アイエルツ)の試験概要
IELTS(アイエルツ) 公式サイトへ行く
運営(国内) | 公益財団法人 日本英語検定協会 |
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受験料 | 25,380円(税込) |
受験会場 | 首都圏を中心に全国16の都市で実施(※最大月4回) |
試験形式 |
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申込・結果通知 |
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スコアの有効期限 | 筆記テスト当日を含めて2年間 |
支払い方法 | クレジットカード、コンビニ支払い、ゆうちょATM |
備考 |
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IELTSには、「アカデミック・モジュール」と「ジェネラル・トレーニング・モジュール」の2種類がある
IELTSの試験には、「アカデミック・モジュール(Academic Module)」と「ジェネラル・トレーニング・モジュール(General Training Module)」の2種類があり、申込の際、目的に応じていずれかを選択します。
アカデミック・モジュールとジェネラル・トレーニング・モジュールの主な違いは以下の通り。
IELTS 「アカデミック・モジュール」と「ジェネラル・トレーニング・モジュール」の違い
- アカデミック・モジュール(Academic Module)
- 海外留学や、海外での就職を希望する人向けの試験。英語で授業を行う大学や大学院に入学できるレベルに達しているかどうかを評価するもの。イギリスやオーストラリア、カナダ、ニュージーランドの大学・大学院では、アカデミック・モジュールの試験結果が、入学許可の判断基準になっている。
- ジェネラル・トレーニング・モジュール(General Training Module)
- 英語圏で学業以外の研修を考えている人や、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国への移住申請を希望する人向けの試験。
ちなみに、IELTSの試験は、アカデミック・モジュールもジェネラル・トレーニング・モジュールもリスニング、リーディング、ライティンング、スピーキングの4つのテストで構成されていますが、このうち、リーディングとライティングのテストに関しては、アカデミック・モジュールとジェネラル・トレーニング・モジュールとで出題内容が異なります。
IELTSを受験する際は、アカデミック・モジュールとジェネラル・トレーニング・モジュールのどちらを受けるのか、事前に確認しておきましょう。
IELTS(アイエルツ)の試験内容
アカデミック・モジュール (Academic Module) |
ジェネラル・トレーニング・モジュール (General Training Module) |
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対象者 | 大学や大学院への留学や就職を希望している人向けの試験 | オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国への移住または研修を希望している人向けの試験 |
スコア | 1.0~9.0まで0.5刻みのバンドスコアで表示 ※一般的には、6.0~6.5を入学基準とする大学が多い。 |
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試験時間 | 約2時間45分 ※ライティング、リーディング、リスニング、スピーキングの4つの試験の合計 |
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ライティング | 60分:全2問 …設問に対して、Task1では約150語、Task2では約250語を目安に英作文を作成。 |
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リーディング | 60分:全40問 …選択問題、正誤問題、組み合わせ問題、見出し・主題の選択、文章・要約・メモ・表・フローチャート・図表の穴埋め、記述式問題など |
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リスニング | 約30分(※別途解答転記時間10分):全40問 …選択問題、組み合わせ問題、計画・地図・図表の分類、用紙・メモ・表・フローチャートの穴埋め、要約・文章完成、記述式問題など |
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スピーキング | 11~14分:3パート …試験管と1対1のインタビュー形式で実施。テストの内容は録音される。
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※ライティングとリーディングのテストは、アカデミック・モジュールとジェネラル・トレーニング・モジュールで出題内容が異なる。
IELTSはリスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つのテストで構成
IELTSの試験は、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つのテストで構成されており、通常、「ライティングリーディングリスニングスピーキング」の順番で行われます。
試験時間は、ライティング60分、リーディング60分、リスニング約30分、スピーキング約15分の合計約2時間45分。
4つのテストのうち、ライティング、リーディング、リスニングの筆記テストは同日に行われ、3つの試験の間に休憩時間はありません。スピーキングのテストは通常、筆記テストと同日に行われますが、試験会場によっては別日(※筆記テストの前後6日以内)に実施されるケースもあるため、試験のタイムテーブルについては、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。
また、IELTSの試験結果は、1.0~9.0まで0.5刻みのバンドスコアで表示され、原則、筆記テストの実施から13日後に発表されます。試験結果(スコア)の有効期限は、筆記試験の実施日から2年間。
ちなみに、IELTSのスコアの目安となるのは、6.0~6.5。このスコアは、TOEIC L&Rの800点~870点レベルに相当し、多くの大学が、入学の基準に設定しています。
現時点での英語レベルによっても異なりますが、IELTSを受験する際は、6.0~6.5を一つの目安(目標)に勉強に取り組むのがおすすめです。
Column
テストセンターのコンピューターで受験する「IELTS(CDI)」とは?
通常、IELTSの筆記試験はペーパーテストの形式で行われますが、一部の会場(※東京 高田馬場:JSAF-IELTS公式テストセンター東京(JP112)会場)では、会場内のパソコンから筆記試験を受けることが可能です。
このIELTSは、「IELTS(CDI:Computer-delivered IELTS)」と呼ばれ、ライティング、リーディング、リスニングの筆記試験をパソコンで実施。(※スピーキングのテストは通常のIELTSと同様、面接形式にて行います)
また、試験の内容や難易度、採点基準等は、通常のIELTSと同様です。
IELTS(CDI)には、ペーパーテスト形式で受験する通常のIELTSとは異なり、「試験結果が早くわかる(※試験後5~7日で結果がわかる)」「ライティングのテストをタイピングで解答でき、ワード数も自動でカウントされる」「リスニングのテストをヘッドホンで聞ける」等のメリットがあります。
試験会場が限定される点には注意が必要ですが、パソコンからIELTSを受験したいと考えている方は、IELTS(CDI)についてもチェックしておくと良いでしょう。
IELTS(アイエルツ)のメリット
次に、IELTSを受験するメリットについてご紹介します。自身の英語力を証明する試験としてIELTSを受験するメリットは、以下の3点。
IELTS(アイエルツ)のメリット その1国際通用性が高い
IELTSは、世界で年間350万人以上が受験。140か国、10,000以上の教育機関や企業、国際機関、政府機関などで、英語力を証明する試験として採用されています。
また、イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドへ海外移住する際もIELTSのスコアが必要なほか、近年では、日本国内において、IELTSを入試に活用する学校も増えてきています。
国際通用性が高く、進学や就職、海外移住など、さまざまな場面で自身の英語力を証明する際に活用できる点は、IELTSを受験する大きなメリットです。
IELTS(アイエルツ)のメリット その2海外留学や海外移住を想定した英語が学べる
IELTSは、英語の環境で授業についていく、または仕事や生活をしていくための英語力がどの程度あるのかを測るために考案された試験です。そのため、出題される問題も、海外留学や海外移住を想定したものになっています。
例えば、アカデミック・モジュールのリーディングテストの場合、書籍や専門誌、雑誌、新聞などから抜粋された学術的なトピックに関して一般的に書かれたものを題材に問題を出題。大学や大学院への進学を予定している人や、就職を希望する人に則した内容になっています。
海外留学や海外での就職、海外移住を想定した問題が出題され、IELTSの試験対策をすることで、実践の場で役立つ英語力が身につけられる点も、IELTSを受験するメリットの一つです。
IELTS(アイエルツ)のメリット その31回の受験で英語4技能を全て測ることができる
IELTSの試験は、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つのテストで構成されています。つまり、1回の受験で、「聞く(リスニング)・読む(リーディング)・書く(ライティング)・話す(スピーキング)」の英語4技能すべてのスキルを測定することが可能です。
受験料が25,380円(税込)と他の英語資格と比較し、やや高い点には注意が必要ですが、IELTSの試験対策をすることで英語4技能をバランスよく身につけられ、1回の受験で自身の総合的な英語力がわかる・証明できる点も、IELTSを受験する際にチェックしておきたいメリットといえるでしょう。
IELTS(アイエルツ)の対策とおすすめの勉強法
それでは、実際にIELTSを受験する際、試験対策としてどのような勉強をすると良いのでしょうか?本チャプターでは、IELTS対策におすすめの勉強法についてご紹介します。
IELTSの対策とおすすめの勉強法 その1語彙力・単語力を強化する
IELTSの試験対策をする上で、まず押さえておきたいのが、語彙力・単語力の強化です。 特にアカデミック・モジュールの場合、試験問題に日常生活ではあまり使わない学術的な単語が出るケースが多いため、語彙力・単語力の強化は、IELTSの対策に必須の要素。
語彙力・単語力の強化は、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングすべてのテストのスコアアップにつながります。IELTS用の英単語集などを活用し、頻出単語を中心に語彙力・単語力をしっかり身につけましょう。
IELTS対策におすすめの単語集
IELTSの頻出英単語3,500語をまとめた単語集。全3,500語は「基本語1,000」と「重要語2,500」にわかれ、さらに「重要語2,500」は500語ずつにレベル分けされている。また、IELTSに関する情報や、単語の覚え方に関するコラム等も掲載。
音声の無料ダウンロードもできるので、IETLS対策に語彙力・単語力を強化する際、ぜひチェックしておきたい。
価格(税込) | 2,750円 |
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IELTSの対策とおすすめの勉強法 その2IELTSの試験形式に慣れる
IELTSの試験形式や問題の出題傾向を押さえておくことも試験対策をする上で大切なポイントです。問題集や模擬試験を活用し、IELTSの出題傾向を押さえつつ、試験形式に慣れておきましょう。
また、IELTSの試験は、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングと4つのテストがあるため、まず模擬試験を利用して自分の得意分野・苦手分野を把握し、そのうえでIELTSの対策に取り組むのもおすすめです。
IELTS対策におすすめの問題集
IELTSを運営するブリティッシュ・カウンシル公認のIELTS対策本。本番と同じ形式の模試1回分に加え、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの各テストの出題形式や採点基準、練習問題などが掲載されている。また、すべての問題・解答に対訳とスクリプトが付いている点も嬉しい。IELTS対策をする上で、ぜひ押さえておきたい一冊。
価格(税込) | 2,860円 |
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IELTSの対策とおすすめの勉強法 その3IELTS対策に特化したサービスを利用する
IELTSの勉強をする際、IELTS対策に特化したサービスを利用するのも一つの方法です。
TOEICや英検などの資格試験とは異なり、IELTSでは1回の試験で、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つのテストを受けます。そのためIELTSの試験対策をする際は、英語4技能をバランス良く勉強することが大切です。
ただ、アウトプットがメインとなるライティングとスピーキングは独学で勉強するのが難しいジャンル。
IELTSに特化したサービスであれば、ライティングやスピーキングを中心に、バランス良くIELTSの対策を行うことが可能です。
数あるオンライン英会話や英語コーチングスクールの中には、IELTS対策に特化したサービスを提供しているところがあります。
ライティングやスピーキングを中心にIELTS対策をしたいと考えている方や、効率良くIELTSの勉強に取り組みたいと思っている方は、IELTS対策に特化したサービスを上手く活用するのがおすすめです。
(※おすすめのサービスについては、次のチャプターにて紹介しています。)
オンラインでIELTS対策ができるおすすめのサービス3選
IELTS対策に特化したサービスのなかには、オンラインで受講できるものがあり、自分の都合に合わせてレッスン等が受講できると、近年、人気を集めています。
本チャプターでは、オンラインでIELTSの対策ができるおすすめのサービスを本気の英会話編集部が厳選。各サービスの料金や特徴などについて、わかりやすくご紹介しています。
オンラインでIELTSの試験対策をしたいと考えている方は、各サービスについてチェックし、自分に合ったものを見つけましょう。
2か月・3か月の短期集中で効率良くIELTS対策をしたい人におすすめ
プログリット(PROGRIT) 公式サイトへ行く
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スタジオ | 9ヵ所(2024年11月現在) …東京7か所、横浜、名古屋、梅田、三宮
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無料体験 | ※無料カウンセリング |
質の高い学習コンサルティングに定評がある英語コーチングスクール。2か月間・3か月間の短期集中で効率良く英語力を伸ばせると注目を集めている。スタジオへの通学に加え、オンラインでの受講にも対応。
プログリットでは、IELTS対策に特化した「TOEFL iBT/IELTSコース」を提供。人がいかに第二言語を習得するかを科学的に解明した「第二言語習得論」に基づくトレーニングを行い、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの英語4技能をバランス良く伸ばすことができる。
また、高い英語力に加え、グローバルな環境での豊富なビジネス経験を持つ英語のプロが専属コンサルタントを担当。受講生一人一人にあわせた学習カリキュラムの提案や、学習の進捗状況の管理など、さまざまな学習サポートが受けられる点もプログリットを利用する大きな魅力といえるだろう。
短期集中でIELTSの対策をしたい人、効率良くIELTSの勉強に取り組み、英語4技能をバランス良く伸ばしたい人は要チェック。
IELTSを運営するIDP監修のオリジナル問題を使って試験対策ができる
ベストティーチャー 公式サイトへ行く
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無料体験 | ※Writingレッスン3回+Speakingレッスン1回 |
ライティングとスピーキングのレッスンを交互に行い、「書く力」と「話す力」をバランス良く伸ばせるオンライン英会話。
ベストディーチャーでは、IELTS対策に特化した「IELTS対策コース(試験対策コース)」を提供。レッスンでは、IELTSを運営するIDPが監修したオリジナル問題を使い、IELTS対策を行うことができる。
また、IELTS対策に詳しい外国人講師が多数在籍しており、スコアアップにつながるレッスンが受講できる点もチェックしておきたい。
さらに、月額16,500円(税込)とリーズナブルな料金で利用できる点も魅力。
オンライン英会話を利用してIELTS対策をしたい人はもちろん、ライティングとスピーキングを中心に英語4技能を伸ばしたい人にとって、ベストティーチャーは有力な選択肢の一つといえるだろう。
リーズナブルな料金でIELTS対策をしたい人におすすめ
Universal Speaking 公式サイトへ行く
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無料体験 | ※レッスン受講に使えるポイント1,000ポイントプレゼント |
IELTS対策に特化した講師が多数在籍するオンライン英会話。
Universal Speakingでは、IELTS対策向けのコースとして「IELTSコース」を提供。月額7,700円(税込)~と他のオンライン英会話を比較し、リーズナブルな料金でIELTS対策を行うことができる。また、教材にKaplan社の「IELTS prep」を使用するほか、スピーキングを中心に、英語4技能すべてのIELTS対策ができる点も嬉しいポイントといえるだろう。
無料体験時には、日本人スタッフによる無料カウンセリングを実施し、目標や試験の日程、必要なスコアなどについて相談することが可能。さらに、無料体験レッスンでは、IELTS対策に特化した講師によるレッスンを受講できる点もチェックしておきたい。
Universal Speakingは、リーズナブルな料金でIELTS対策をしたい人におすすめのオンライン英会話の一つ。
IELTSに関するFAQ
Q1.IELTSの平均スコアはどれくらいですか?
A1. 2018年の公式データによると、日本人の平均スコア(※リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングのトータル)は、アカデミック・モジュールが5.8、ジェネラル・トレーニング・モジュールが5.7となっています。
ちなみに、海外留学や海外での就職、海外移住の際は、各セクションで6.0~6.5以上のスコアを求められるケースがほとんどです。
Q2.IELTSのスコアを上げるには、どのくらいの勉強時間が必要ですか?
A2. 現時点でのレベルによっても異なりますが、一般的には、IELTSのスコアを0.5上げるには、平均200~300時間の勉強が必要だと言われています。IELTSの試験は、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングのテストで構成されているため、スコアを上げるには、効率良く試験対策を行い、英語4技能をバランス良く伸ばすことが大切です。
まとめ
IELTSの対策と勉強法について解説した今回の特集はいかがでしたでしょうか?
IELTSは、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの英語4技能を測ることができ、多くの国で、海外留学や海外移住の際に英語力を証明するものとして採用されています。また、近年では、日本国内でもIELTSを入試などに活用する学校が増加。
利便性が高く、自身の英語力を証明する際に、上手く活用したい英語資格といえるでしょう。
その一方で、出題範囲がリスニング、リーディング、ライティング、スピーキングと多岐に渡ることに加え、受験料が1回25,380円(税込)と高額なため、IELTSを受験する際はしっかりと対策を行い、勉強に取り組むことが大切です。
将来、海外留学や海外での就職、海外移住を考えており、IELTSを受験しようと思っている方は、本特集を参考にIELTSの基本情報や勉強法などについて確認し、目標とするスコアが取れるよう、IELTSの対策に取り組みましょう。