英語学習者のなかには、英検を2級まで取得し、次のステップとして準1級を目指している方もいるはずです。
英検2級と比較すると準1級は難易度が各段に上がります。そのため、英検準1級に合格するのは簡単ではありません。ですが勉強法を工夫し、しっかりと対策を立てて取り組めば、合格を手にすることは十分に可能です。
そこで本特集では、50歳を過ぎてから本格的に英語の勉強に取り組み、実際に英検準1級に合格した筆者が、おすすめの勉強法や、英検の勉強を続けるためにどのようにモチベーションを維持していたのかをご紹介します。
これから英検準1級にチャレンジしようと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
英検準1級の基本情報
はじめに、英検準1級の基本情報を押さえておきましょう。
英検準1級は大学中級程度のレベルとされ、取得していると高度な英語コミュニケーション能力があることを証明できます。国際的な活躍を目指す人であれば、準1級はぜひ取得しておきたい英語資格といえるでしょう。
英検準1級の基本情報
試験日程 ※個人申込の場合 |
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受験料(税込) ※個人申込の場合 |
10,500円
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試験時間 |
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レベル | 大学中級程度 |
出題形式 |
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合格率 | 約15% |
英検準1級を取得するメリット
メリット その1:
レベルの高い英語力があることをアピールできる
英検準1級は難易度の高い資格のため、取得していれば、レベルの高い英語力があることをアピールできます。
そのため、英検準1級の資格は、多くの高校・大学での入学試験(※1)や大学での単位認定に活用。オーストラリアやアメリカ留学(※2)といった面でも適用されているほか、公務員試験での加点に活用する自治体も増えています。学生にとって、英検準1級はさまざまな場面で大きなアドバンテージが受けられる資格といえるでしょう。
また、社会人にとっても、英検準1級の資格を取得することでキャリアアップや年収アップにつながる可能性が高まります。さらに、転職活動においては、社会人になっても学び続ける姿勢やグローバルな視野があることのアピールにつながります。
- 1: 英検・TEAP・IELTS 活用校検索
- 2: 英検で海外留学紹介
メリット その2:
英語を入口に、世界の最新情報にアクセスできる
世界の英語話者は約15億人といわれており、英語は、ビジネス、学術、スポーツ、インターネット、その他あらゆる分野での共通言語。
そのため、英検準1級の資格を取得すれば、英語を入口に、あらゆる分野の最新の知識や技術の情報源に直接アクセスし、情報を得ることができます。
英単語の中には多くの意味をもつものもあり、日本語に翻訳されたものの中には、微妙に趣旨とずれているものが散見されるケースも少なくありません。
また、世の中には翻訳されていない情報も多いため、英検の勉強を通して培った英語力を活かし、直接原文を読んだり聞いたりすることで情報を得られる点も、英検準1級を取得する大きなメリットといえるでしょう。
英検準1級一次試験対策におすすめの勉強法
本チャプターでは、筆者が英検準1級を取得する際、実際に一次試験対策として取り組んでいたおすすめの勉強法をご紹介します。
勉強法1: 短文・長文の語句補充問題対策
対応問題 | 大問1、2 |
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使用教材 | 『単語帳出る順パス単準1級』(旺文社) |
勉強法のポイント | 語彙力の強化が最重要!『単語帳出る順パス単準1級』をフル活用する |
単語帳をフル活用する
英検準1級の対策としては、ひとつひとつの単語を確実に覚えるよりも1ページずつ英単語、意味、派生語、例文を読み込んでいくのがおすすめ。これを何周かすることで得意な単語、苦手な単語が明確になります。
そのうえで苦手な単語に付箋を貼り、集中的に反復して覚えましょう。その際、覚えた単語の付箋を外していくと、苦手な単語を効率よく減らしていけます。
特に『単語帳出る順パス単準1級』の「でる度A」と「でる度B」の単語に関しては、苦手な単語を確実になくしておきましょう。
例文をフル活用する
『単語帳出る順パス単準1級』の各単語には、短い例文がついています。この例文に使われている文法を意識して読み進めるのもおすすめです。
その際のポイントは、受動態や時制、不定詞、動名詞、分詞、関係詞など、どのような文法が使われているかを理解すること。短い例文でも文法を意識して読むことが、長文を上手く読むことにつながります。また、文頭から読み進め、文の意味をつかむ癖もつけておきましょう。長文の速読に有効です。
音声をフル活用する
英検準1級に合格するためには、音を認識する能力を鍛えておくことも大切です。単語に関しては、はじめに各単語のアクセントの位置と発音記号を音声で確認すること。次に、例文を見ながら音声と同時に音読し、自分がどのような音を聞き取れていないかをチェックしましょう。
ちなみに、音声を聞き取れない原因としては、英語の特徴である「音声変化」によるものと考えられます。そのため、なかなか思うように英語を聞き取れないからといって、悲観する必要はありません。音声と同じように音読し、そこでどのような音声変化が起きているのかをチェックしましょう。
Memo : 音声変化とは?
音声変化とは、主に以下のようなことをいいます。
- 例:
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音がつながっている場合
…「If I (→イファイ)」、「head up (→ヘダップ)」のように聞こえる -
音が脱落している場合
…「going」の最後の「g」、「and」の「d」の音が脱落する(=聞こえない) -
音が弱くなっている場合
…be動詞や前置詞など重要でない部分は音が弱くなる
勉強法2: 長文の内容一致選択問題対策
対応問題 | 大問3 |
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使用教材 | 『英検準1級予想問題ドリル』(旺文社) |
勉強法のポイント | 速読する能力が必要不可欠!『英検準1級予想問題ドリル』をフル活用する |
長文問題を速く読むためには、文頭から「S:主語」「V:述語」「O:目的語」「C:補語」を意識し、それぞれの文でどのような文法が使われているかを認識することが重要です。
また、文頭から英文を日本語に変換し、大意を理解する必要もあります。試験では、文末まで読み終えてから正確に日本語に訳している時間はありません。そのため、意訳できていれば十分です。
加えて、本文を読む前に各設問に目を通しておきましょう。設問を頭に入れたうえで本文を読み取ることで、より効率よく解答できます。
特に過去問や予想問題を解くときは、時間配分を意識して取り組みましょう。
勉強法3: 英作文対策
対応問題 | 大問4 |
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勉強法のポイント | テンプレートをフル活用する |
英検準1級の一次試験「大問4」では、「社会問題について、どのような意見を持っているか」という質問が出題され、与えられた4つのキーワードのうち2個を使って回答します。
この問題に関しては、下記のテンプレートに選んだ2個のキーワードを含めて回答するのがおすすめです。
テンプレート
主張 |
I think that ~.(私は~だと思います。) I don't think that ~.(私は~だと思いません。) |
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理由① | First ~. /One reason is ~.(一つ目の理由は、~。) |
理由② | Second ~. /Another reason is ~.(二つ目の理由は、~。) |
まとめ |
Therefore, I think~(したがって、私は~だと思います。) Therefore, I don't think that ~.(したがって、私は~だと思いません。) |
その際、知っている単語や文法をフル活用し、自分の意見を伝えましょう。
また、この問題の対策としては、日ごろから時事問題を意識し、自分なりの意見を持っておくことも大切です。
勉強法4: リスニング問題対策
対応問題 | リスニングテスト |
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使用教材 | 『英検分野別ターゲット 英検準1級リスニング問題』(旺文社) |
勉強法のポイント | 「音声認識力」と「文章全体の意味を理解する力」を鍛える |
リスニング問題の対策としては、「音声を認識する力」と「文章全体の意味を理解する力」の2つの能力を鍛えることが大切です。
まずは、音声を認識する力。
スクリプトの英文を読みながら音声を聴いていると、英文とは違うように聴こえることがあります。例えば、「one of them(ワンオブゼム)」は音声変化によって「ワノブゼ」と聴こえます。こうした音声変化は、英語を聞き取る際の大きな壁になる可能性が高いです。
そのため、過去問の音声を何度も聴き、スクリプトを読みながら音声変化を認識する能力を鍛えましょう。
また、文章全体の意味を理解する力もリスニング問題の対策をする上で重要なポイントです。
リスニングのテストでは、英文を聴き返すことができないため、長文の読解とは異なり、文章全体の意味を把握する難易度が高くなります。ただし、長文読解と同じく、文頭から日本語に訳して大意をつかむところは同じです。
過去問はもちろん、たくさんの英語を音声で聴き、文章全体の意味を理解する力を鍛えましょう。
英検準1級の一次試験対策には、上記でご紹介した3冊+過去問を掲載した『英検準1級 過去6回全問題集』を利用するのがおすすめ。
この4冊はいずれも英検準1級対策に特化した内容になっており、ここまで紹介してきた勉強法はすべて、この4冊で対応可能となっています。
いろいろな参考書に手を出すよりも、使う参考書を4冊に限定して集中的に取り組み、その4冊の内容をしっかりマスターすることが大切です。
英検準1級二次試験対策におすすめの勉強法
英検準1級には、筆記試験の「一次試験」に加え、面接形式の「二次試験」があります。
本チャプターでは、筆者が実践した二次試験対策におすすめの勉強法をご紹介します。
英検準1級の二次試験は面接形式のスピーキングテスト
英検準1級の二次試験は面接形式のスピーキングテストです。
入室時に4コマのイラストが描かれたカードを受け取り、そのカードに描かれた内容をもとに面接を行います。
面接での主な質問内容は以下の4つ。
- (1) 4コマのイラストの展開を説明する間(2分間)
- (2) イラストに関連した質問に答える
- (3) カードのトピックに関連した内容についての質問に答える
- (4) カードのトピックにやや関連した社会性のある内容についての質問に答える
トピックは、社会性の高い分野の話題が扱われます。対策としては、日ごろからニュースや新聞に目を通し、様々な問題に対して自分なりの意見を持つようにしましょう。
英語を話すことに慣れるため、日頃から思ったことや目の前の状況を英語で話す練習をしておくのも効果があります。
加えて、英検準1級の二次試験対策としては、過去問や予想問題のイラストで「誰が、いつ、どこで、どのように、何をしたか」を意識し、実際に英語で話してみることが大切です。
また、英検準1級の二次試験では面接に対する「姿勢」も評価対象になります。面接の本番では最後まであきらめず、知っている単語や文法をフル活用して自分の意見をしっかりと伝えましょう。
英検準1級 二次試験対策におすすめのオンライン英会話
DMM英会話 公式サイトへ行く
料金例(税込) |
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レッスン形式 | マンツーマン ※1レッスン25分 |
無料体験 | 25分のレッスン2回 |
DMMが運営する大手オンライン英会話。
DMM英会話では、英検準1級対策として、語彙や読解、スピーキングの練習に対応したレッスンを提供。加えて、二次試験対策用の模擬テストも提供している。
また、DMM英会話では24時間365日、PCやタブレット、スマホで、自宅や出先からマンツーマンレッスンを受けることが可能。時間や場所を問わず、いつでもどこでも英検準1級対策のレッスンを受けられる。
「レッスンノート」と呼ばれる復習機能もあり、レッスン終了後、担当した講師からのメッセージや、レッスンで使われたセンテンス・単語を確認できるのも嬉しいポイント。
月額4,880円(税込)からとリーズナブルな料金で利用できるため、英検準1級の二次試験対策にオンライン英会話を利用する際、DMM英会話はぜひ候補に入れておきたい。
ネイティブキャンプ 公式サイトへ行く
料金例(税込) |
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レッスン形式 | マンツーマン ※1レッスン最大25分(最短5分) |
無料体験 | 7日間 |
予約不要・回数無制限でレッスンを受けられるオンライン英会話。
ネイティブキャンプでは、英検準1級の二次試験対策に対応したレッスンを提供。「音読問題」「イラスト問題」「質疑応答」の出題形式ごとに、英検の二次試験対策ができる。
また、レッスンは予約不要で、PCやタブレット、スマホから受講可能。最短5分からとスキマ時間を使ってレッスンを受けられるのも嬉しい。
「プレミアムプラン」「ファミリープラン」を利用することで、回数無制限でレッスンを受講できる点もチェックしておきたい。
英検準1級 二次験対策におすすめの教材
NHKゴガク(ラジオ) ニュースで学ぶ「現代英語」 公式サイトへ行く
世界で実際に使われている英語で最新の英語ニュースが聴けるラジオ番組。
英語はもちろん、ニュースを通して、日本や世界の動きも学べる。気に入ったフレーズを覚えて二次試験で使うのもおすすめ。
英検準1級に合格するためのコツ
英検準1級は難易度が高いこともあり、2級までと比較して、試験勉強は長期戦になる傾向があります。それでは英検準1級の勉強に取り組む際は、どのような点に気を付けるとよいのでしょうか。
本チャプターでは筆者の経験も踏まえ、英検準1級に合格するためのコツをご紹介します。
英検準1級に合格するためのコツ1: 毎日少しでも、英語に触れる
「ていこく主義」という言葉をご存知でしょうか?よく知られている「帝国主義」ではありません。「定刻主義」と書きます。「毎日決めた時刻に勉強を始める」という勉強法のひとつです。英検準1級に合格するためには、この「定刻主義」を意識して勉強に取り組むのがおすすめです。
ちなみに、「定刻主義」を英語学習に置き換えると、飲み会の途中でも、移動中でも、どのような状況であっても、決めた時刻になれば、必ず英語に触れるようにすること。例えば、単語帳数ページに目を通したり、好きな英文をリスニングしたりするなど、5分間でできることで構いません。とにかく、英語学習ゼロの日を作らないようにすることが大切です。
英語学習は、人によってはさぼりたい気持ちとの戦いでもあります。英語学習へのモチベーションがなかなか保てない・・・という人は、「定刻主義」で強制的にやる気スイッチを入れる習慣を付け、英検準1級の勉強に取り組むと良いでしょう。
英検準1級に合格するためのコツ2: さまざまな分野の情報に触れることを楽しむ
英検準1級の勉強は英語力を身につけるのに効果があるのはもちろん、勉強を通して、自分の知識や教養を広げることができます。この「知識や教養を広げること」をモチベーションにして、試験勉強に取り組むのもおすすめです。
知識や教養を強化し、知的世界を広げていくことには、試験の合格と同等以上の価値があります。
英検準1級の試験問題の題材は、時事問題や社会、文化、国際、生物、歴史、科学技術など多岐に渡ります。そのため、試験勉強を通してさまざまな分野の情報に触れ、そのなかで知的好奇心が刺激され、自分の興味・関心の幅が広がることも。
この点を楽しみながら勉強に取り組むのも、英検準1級に合格するためのポイントといえるでしょう。
英語のモチベーションアップにおすすめの動画サイト
TED日本語(DigitalCast) 公式サイトへ行く
世界で活躍するあらゆる分野のトップランナーが、英語でプレゼンテーションを行う動画を集めたサイト。
どの題材も興味深く、引き込まれる内容になっている。ちなみに興味のある動画が1本でもあれば、その動画を集中的に聞きこむのがおすすめ。
英語字幕と日本語字幕の両方を見ながら英語を聴くだけでも、リスニング対策ができる。さらにスクリプト付きで、品詞分類、単語の辞書機能もあるため、英語の総合学習にも役立つ。
内容的にも、英語への興味・関心を強め、モチベーションの維持に繋がるものが多いので、英検準1級に挑戦する際は上手く活用したい。
まとめ
英検準1級を取得していれば、入試やキャリアアップ、転職など、さまざまな場面でプラスに働きます。また、試験にはさまざまな分野・ジャンルのトピックに対して自分の意見を述べる問題も出題されるため、勉強を通して自分の興味・関心の幅を広げることも可能です。
英語を自分の武器にしたい人、将来、英語を使って働きたい人であれば、英検準1級はぜひ取得しておきたい英語資格といえるでしょう。
英検準1級は難易度の高い資格ではありますが、しっかりと勉強すれば、必ず合格できます。これから英検準1級にチャレンジしょうと思っている方は、本特集を参考に、勉強に取り組んでみてはいかがでしょうか。