TOEIC(※L&R TEST)の最終目標スコアと言われる900点。TOEICスコア900点超えを目指して日々努力している英語学習者が多いなか、思うように900点を超えられずに悩んでいる声も、よく耳にします。
筆者は、転職を真剣に考え始めたのをきっかけに、それまで中断していたTOEICの勉強を再開。最終的にTOEIC950点を取得しました。
数ある英語資格のなかから筆者がTOEICを選んだ理由は、多くの企業で採用されている英語資格のため。転職活動を進めるうえで、TOEICを取得していれば、応募先の企業に自分の英語レベルをアピールしやすくなると考えたからです。
筆者の体験談として、あきらめなければTOEIC900点超えは可能です。
本記事では、TOEIC950点ホルダーである筆者が自身の体験を踏まえ、「スコア950点を取るまでの勉強法」を、あますところなくお伝えします!
TOEIC950点はどのくらいのレベル?
TOEIC® Programを主催する一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会の「PROFICIENCY SCALE」によると、TOEIC860点以上は「Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる」レベルとされています。
また、文部科学省の「各試験団体のデータによるCEFRとの対照表」では、TOEIC945点以上は英検1級に相当し、豊富な語彙力と、ハイレベルなリスニング・リーディング力があるレベル。
そのため、TOEICで900点前半を取得した人が、次なる目標として950点以上を挙げることも少なくありません。
TOEIC950点を取るまでの道のり
筆者は学生時代から英語の勉強が好きで、大学では英語の教員免許を取得。大学卒業後は8か月間カナダに語学(英語)留学をし、帰国後に初めてTOEICを受験しました。
初回のTOEICスコアは795点。
「話の概要はぼんやりと理解できるものの、細かい箇所やニュアンスまでは分からず、スクリプトを確認して初めて、自分が理解できていない内容の多さに驚く」という中級の英語レベルでした。
それからしばらくはTOEICへの興味をなくし、英語の勉強は続けつつも、TOEICに特化した勉強はせずに過ごします。
ですが、真剣に転職を考えたのを機にTOEICの勉強を再開し、2回目のTOEIC受験で860点を取得。この時点で少しずつ900点超えの可能性が見えてきたため、さらにTOEIC対策を強化し、3回目のチャレンジで、950点に到達しました。
なお、TOEICの勉強を再開してから、950点を取るまでの期間は、約6か月間です。
TOEICで950点を取るまでの勉強法
この章では、筆者がTOEICで950点を取るまでに実践した勉強法をご紹介します。
実は以前、大手予備校の社員として、多くの学生から学習相談を受けていた筆者。自身のTOEIC勉強法にも、その時に学んだノウハウを活用していますので、その経験もまじえながらお伝えします。
TOEICスコア950点以上を目指している方は、ぜひチェックしてみてください。
TOEIC950点を取るまでの勉強法
勉強法 その1: TOEIC公式問題集で本番のテストを体験する
筆者の場合、基本的な英語力はあったため、最初に『TOEIC公式問題集』を使用し、本番のテストを体験するところから始めました。その理由は以下の2点です。
①自分の苦手なパートが分かる
予備校の進路指導では、模試の結果を分析し、まず苦手分野を把握・改善するように指導します。
多くの学生は得意分野のみで点数をカバーしようとしますが、得意分野の点数を伸ばしたとしても、得点アップにつながる「のびしろ」には限りがあるため、足を引っ張る苦手分野があると得点は伸びません。
TOEICにも同じことが言えます。特に900点超えを目指す場合は、すべてのパートを均一に正解しなければなりません。そのため、苦手なパートでのミスを減らし、点数を底上げするのが近道だと考えました。
ちなみに体験テストの結果、筆者はパート2「応答問題」と、パート5「短文穴埋め問題」、パート7「読解問題」の正解率が低いことが分かり、重点的にそれらのパートを練習しました。
②TOEICの試験形式に慣れると、得点がアップしやすくなる
TOEICでは過去問を公開していませんが、本番に最も近いと言われる『TOEICの公式問題集』で、試験形式に慣れるよう練習を繰り返しました。
というのも、予備校で働いていたとき、筆者の担当していた大学受験生が、志望校の過去問に徹底的に取り組み、試験形式に慣れることで、無理だと言われていた難関国立大学に合格したことがあったからです。逆に過去問をおろそかにしていたため、実力があるにも関わらず、不合格になった学生もいました。
こうした経験から、筆者は「試験形式に慣れておくこと」が重要だと考えたのです。
公式問題集を繰り返すうちに、次第にTOEICの出題形式と解答のパターン、時間配分、自分の間違いやすい問題、解き方のコツがわかってきます。
また、迷う・わからない問題はさっと切り捨てて、次の問題に引きずらないメンタルが培われたのも、試験形式に慣れることで得られたメリットと言えるでしょう。
勉強法 その2: 苦手なパートを克服する
TOEICで苦手なパートを克服するためには、やはりそのパートの問題を解くしかありません。
ですが、苦手なパートに取り組むのは気が重いもの。できるだけ時間をかけず、かつ苦手意識をなくして効率よく取り組めるよう、筆者は次のような工夫をして苦手なパートの勉強をしていました。
①解答のテクニックを学ぶ
なかなか点数の取れないことが続くとストレスがたまり、英語学習全体のモチベーションが下がる可能性があります。そのため、筆者はTOEICの解答テクニックを学んでから、苦手なパートの勉強を始めました。
筆者が解答テクニックを学んだ参考書は、『TOEIC(R) L&Rテスト 直前の技術-受験票が届いてからでも間に合う11日間の即効対策プログラム』。「WH疑問文を意識する」「質問で使われたキーワードは避ける」、「設問を先読みする」、「設問を「森」と「木」に分類する」など、目から鱗の解答テクニックが詰まった一冊です。
対象が「600点~800点目標」とありますが、それ以上のスコアを目指す人にとっても、役立つ参考書だと感じています。現に筆者は、この参考書のテクニックを実践したおかげで、950点が取れたと言っても過言ではありません。
②苦手なパートを繰り返し練習する
解答テクニックを学んだら、あとはひたすら実践です。筆者は前述の『TOEIC公式問題集』を繰り返し解くとともに、パート別の参考書を購入し、量をこなしました。
ここで大切にしたのは、「復習」です。ただ答え合わせをし、分からなかった単語や熟語を覚えるだけではなく、なぜ間違えたのかを分析し、「自分の解答の癖」を理解しなければ、正解にはつながりません。
例えば筆者の癖は、パート5「短文穴埋め問題」や、パート7「読解問題」の際、問題文を焦ってよく読まずに、自分のフィーリングで適当に解答してしまうこと。
当然のこととして、解答には根拠があります。自分の癖に気づいてからは、必ず自分の中でその根拠を確認してから答えるようにしました。その結果、解答率が2割ほど上がりました。
勉強法 その3: 単語を覚え直す
実は単語力不足を以前から認識していた筆者。単語を知らなかったり、曖昧なままにしたりしていると、英文が理解できないため、解答スピードが遅くなり、正解率を下げる結果につながることも分かっていました。
ですが、単語を覚えるためには、記憶の定着を図らなければいけません。
筆者の場合は、単語を覚える日があっても、そのあとに単語の勉強をしない日が何日か続いたりと、なかなか「単語の学習→定着」のサイクルができず、これまでに何度も単語の勉強には挫折してきました。
そのため、TOEIC学習再開時には、今までの単語の勉強法を変更。『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』を使い、単語を「覚える」よりも「読む」感覚で学習をすることにしました。
この単語帳は、TOEICフレーズの英語と日本語訳が一目で把握できるように工夫されているため、あちこちに視線を動かす必要がありません。また、正しく発音ができるよう、発音記号が記載されているのも高ポイントです。
本を読む感覚でTOEIC試験本番までに何周か目を通すようにしたところ、ぼんやりとしていた単語の理解がクリアになり、英文の読解スピードやリスニングの理解力が上がりました。
勉強法 その4: 同じ教材を繰り返し学習する
筆者が主に使用したのは、
の3冊です。
筆者の体験談として、同じ教材を繰り返し学習することで、知識や記憶、テクニックが定着しやすくなります。
また、正解した問題の中には、「たまたま正解した」ものが含まれていることも少なくありません。そういった問題は再度問題を解いた際に不正解になるケースが多いため、同じ教材を繰り返し解くことで、「なんとなく」の理解をなくし、細部までしっかり理解できるようになります。
こうした理由もあり、筆者は上記の3冊に絞って、繰り返し学習しました。
勉強法 その5: 英語を日常生活に取り入れる
実は筆者が1回目のTOEIC試験を受けてから2回目のTOEIC試験を受けるまでは、約10年間のギャップがありました。
この長いギャップがありながら、TOEICの勉強を再開し、3回目の受験で950点を取れたのは、やる気にむらがありつつも、その間マイペースに英語の勉強を続け、英語力を落とさなかったからだと考えています。
TOEICの試験対策は大切ですが、根本的に、普段から「英語脳」を鍛えておくことも、同じくらい重要です。
なお、筆者は、TOEICの試験対策の他に、以下の英語学習を日常生活に取り入れていました。
①英語で独り言をつぶやく
一人でいるときはなるべく英語で話したり、考えたりします。これを繰り返すことで、単語の定着が図れるだけでなく、英語の構文や文法の理解も深まりました。
②英語のYouTubeを観る・Podcastを聞く
筆者は飽きっぽい性格なため、TOEICへのモチベーションを保つために、自分の興味のある英語の動画をYouTubeで視聴したり、英語のPodcastを聴いたりして息抜きをしていました。
自分の興味があることは真剣に聞き取ろうとするため、リスニング力も鍛えられて、一石二鳥の勉強法です。
③英会話の練習をする
筆者は断続的ではありますが、ネイティブの先生と英会話を続けています。ネイティブの先生から直接英語を習う利点は、似ている単語の微細なニュアンスの違いや、発音のリンキング、リダクションなど、細かい点を教えてもらえること。
ネイティブの先生との英会話を通して、今まで聞き取れなかったTOEICのリスニングが聞き取りやすくなり、リーディングでも細部まで理解しやすくなりました。
TOEICで950点を取るためのコツ
次に本チャプターでは、TOEICで950点を取るためのコツをご紹介します。いずれも基本的なことですが、効果があるので、ぜひ試してみてください。
TOEICで950点を取るためのコツ① 3か月後を想定して勉強の計画を立てる
学習計画について大学受験生に指導をする際、「現在の勉強の成果は3か月後に現れる」と伝えていました。学習曲線はある程度の停滞期を経てから、ある時、急に成果が表れます。その期間が3か月後くらいからだと言われています。
そのため、TOEICを受験するタイミングは、勉強開始から3か月単位で考えると良いでしょう。
筆者も勉強の成果が出やすいとされる3か月単位でTOEICを受験。実感として、確かに3か月目あたりから、苦手なタイプの質問を間違えなくなったり、今まで意味が分からなかった英文を突然聞き取れたりするようになりました。
TOEICで950点を取るためのコツ② 迷う・分からない問題に時間をかけない
TOEICは時間との勝負です。特にリスニングは、迷ったり、分からなかったりしていると、次のナレーションが始まってしまうため、時には割り切りも必要。
なかでもリスニングのパート3「会話問題」・パート4「説明問題」では、1つのダイアログに対して3つの質問が用意されており、冒頭を逃すと話が分からなくなってしまうことが多いため、3問すべてを落としてしまう可能性があります。
「分からない」「迷う」と思った時は、迷った解答のマークシートに軽くチェックをつけておき、解答を見直す際に、忘れずに塗りつぶしましょう。
TOEICで950点を取るためのコツ③ 点数にこだわりすぎない
TOEIC受験で最大のパフォーマンスを出すためには、心を落ち着かせることも大切なコツの一つ。自分の目標点数に固執しないことも重要です。
目標点数にこだわりすぎると、試験中の緊張や焦りにつながり、小さなつまずきが挽回できず、雪だるま式に大きな失点へとつながりかねません。そのため、普段の実力を最大限に発揮できるよう、リラックスした状態で試験に臨むことが大切です。
また、日々の学習でも、「また同じ箇所を間違えてしまった」「900点に届かないかもしれない」などと考えすぎずに、自分の成長を見つけ、それを楽しむとよいでしょう。
まとめ
筆者は転職活動の一環としてTOEICを受験しましたが、950点を取ったことで、40代後半で正規の大学職員として採用が決まりました。
就業してから、採用担当者に筆者の採用理由を尋ねたところ、TOEICの点数が採用への足がかりになったと教えられ、「TOEICは転職に有利に働く」ことを実感しました。
TOEIC受験の目的は転職だけではなく、昇進や年収アップ、進学、ビジネス英語習得のためなど、人それぞれでしょう。ですが、巡ってきたチャンスを確実につかむために、TOEICのハイスコアが役立つことは間違いありません。
TOEICスコア900点以上を目標としている方は、本特集「【TOEIC体験談】 スコア950点を取るまでの勉強法」を参考に、途中であきらめることなく、楽しくTOEIC900点以上を目指してみてください!